(3)36協定に基づく時間外労働は青天井か?


 労基法36条にもとづく協定があれば、いくらでも時間外労働をさせることは可能なのでしょうか? 実はこれについては、厚生労働省は行政指導で以下のようにおこなっています(労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(労働省告示第百五十四号))。

 1週間  15時間
 2週間  27時間
 4週間  43時間
 1箇月  45時間
 2箇月  81時間
 3箇月  120時間
 1年間  360時間

 このように、おおむね1日1時間から2時間未満というところですが、長期的には漸減するように定められています。
 この「基準」なるものはいわゆる行政規則であり、法律や政令のように直接的に行政機関の外部に対してその効果を有するものではなく、あくまでも行政機関内部の指針です。したがって労働基準監督署の職員がこれに反する指導をおこなうことは訓令違反であるということになりますが、しかしあくまでも行政指導ですから、使用者の「あくまでも任意の協力によってA見実現されるもの」(行政手続法32条)であって強制はできないという弱点はあります。
 しかしそれだけに、厚生労働省および現場の職員には、国民的な期待が大きいということになります。

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