閻魔さまも働きすぎは嫌と言っています


 力の差は歴然です。これこそ赤子の手を捻るというものです。これで米英軍のイラク攻撃で勝利宣言云々は片腹痛いと言いたい。国連決議を無視した道理の無い戦争に世界の世論は明確に反対しました。予想どおり、子供や女性、死ななくていい人が毎日死んでいます。しかも報道は、攻める側のニュースが主体ですからマスコミには辟易してきます。
 さくらが咲いて、明るさが日に日に強くなる春本番に花粉の飛散はスギからヒノキには変わっても花粉症は相変わらずで、イラクのニュースとあいまって、憂鬱な気分の毎日になっています。先日はその上に、風邪まで引いたのですから、正に地獄に落ちた感じです。
 そうそう、地獄で思い出しましたが、地獄組合と言うのをご存知ですか。労働組合ではありませんが、本当にあるのです。ひょっとすると、ご存知かも。だったら、知ったかぶりをしてこんなことを書くのは恥ずかしいことですが、どうせ地獄に落ちた感じですから、まっ!いいか。
 何処にあると思われますか?妻と次男坊と3人で12,3年前に坊がつるのある九州の九重山に登った時、帰りに訪れた別府で発見したのです。
別府には「血の池地獄」とか「竜巻地獄」とか色々地獄の名前がついた温泉があるでしょう。確か全部で7つあったと思うのですが。地獄組合とは温泉業者の組合のようです。
 車で走っていると、並んでいる電柱の総てに「地獄組合」「地獄組合」「地獄組合」と看板がついていて、「ええっ!地獄組合。かっこいいな」と思いながら車を運転しました。労働組合じゃありませんが、このような組合もあるのだなと、変に新鮮な気持ちで受けとめた記憶があります。
 今のご時世、長時間労働で過労死、過労自殺者が引きも切らず、その上大企業や国に搾取と収奪されて、「三途の川」を渡るお金がありません。閻魔様も一人や二人の訪問ではただで渡すこともあるかもしれませんが、自殺者だけでも年間3万人ですから、「三途の川の渡船代」を徴収しないと、地獄の閻魔様の生活は成り立ちません。
 現世と同様、地獄の沙汰も金次第です。労働者、庶民は「三途の川の渡船代」をサラ金に借りざるを得ません。借りた人は死んでいますから、残った借金には責任の取りようがありません。
 でも、あくどいサラ金業者は地獄であろうと、何処であろうと取立に出向くわけです。閻魔様も大変です。長時間過密労働で過労死、過労自殺が激増しているところへ、サラ金の取立屋が来るのですから、サラ金業者対策にも忙しくなって来るのは必然です。
 ひょっとすると閻魔さまは長時間過密労働を強いられて、三途の川の営業権を売りに出しているかもしれません。
 閻魔様に営業意欲を取り戻してもらうには、現世で解雇を規制する法律を作り、長時間労働を禁止して、寿命が来る前に借金まみれで閻魔様を訪れる労働者を無くすこと、これ以外にはないのです。

江口裕之(労働時間短縮研究所所長) 2003年4月10日記


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