「キムチんよか」(3)


 韓国旅行の魅力はなんと言っても食べ物です。旅行案内に料理についての説明、お店の紹介それはそれは懇切丁寧にしていただけています。同行の仲間も良く知っておられることに驚きました。かく言う私は韓国料理と言うと「ビビンパ」「キムチ」ぐらいで、韓国料理音痴と言っても過言ではありません。だから注文は人任せにならざるを得ませんし、日頃の食生活が分かると言うものです。
 さて、日本人旅行者の多いソウルですからレストランのメニューには日本語で表示してあるし、店員の方は日本語が上手で不便はありません。でも、少し冒険と日本人の行かない韓国人相手の店に入ると、ハングル文字だけですからさあ大変。「ああでもない、こうでもない」隣の韓国人が食べているものを見て「あれにしようか」と言っても、メニューのどれに当たるか分からない。こういう時に韓国にはお助けマンがいてくれるのです。 ペアで食事していた若者が、我々の苦境を救ってくれようと英語で話し掛けてくれました。日本語だったら文句なしの大歓迎なのですが、英語だと「ノウ、サンキュウ」とも言えないし、それでも我々は日本人ですから「ベリー、リトル」と、オタオタですが、果敢に対応。「ヌードル」とか「スープ」とか、必死で知っている限りの単語を駆使して、食事に有り付くことが出来ました。この様子、端で見ていたら面白いでしょうね。
 さて韓国ではどのような料理でも必ず「キムチ」が出ます。お代わり自由。3泊4日の食事で「キムチ」を食べなかったのは、朝食にサンドウィッチを食べた時だけ。後は食べるは食べるは、美味い、美味いと「キムチ」「にんにく」をお代わりのしまくりです。器のキムチがなくなると、白菜ごと持ってきて、はさみでジョキジョキジョキ。いくら食べても臭わないのですから。
 ところが、帰国する段になって「俺たち、ひょっとすると、えらい臭いがするんじゃない?」と誰かが発言したのです。でも、もう遅い。
 関空で解散式をと日本食堂に行った時、「我々、臭いますか?」お上さんが「ええニオイしはってます。スッチーさんも、韓国帰りの方はニオイまっせ。ニオイでどちらから来られたか、分かります」と言うことは、韓国からの帰りの飛行機は飛行機そのものがキムチの臭いの塊と化して飛んでるのですね。これも行ってみないと気の付かない愉快と言うか、面白いというか、すごいものですね。
 タクシーのドライバーにも言われ、家族からも「公害を撒き散らすな」と言われ、早速口封じに土産のキムチを食べさせたことは言うまでもありません。韓国土産に「キムチ」は外せませんよ。土産店で『キムチ』を強烈に販売をするのはこういう配慮があるのです。ここにも、韓国の方のお助けマン精神を私は感じ取ったのですが。ちゃんちゃん。

江口裕之(労働時間短縮研究所所長) 2003年3月11日記


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