プイ〜ン!の季節がやって来た

 初夏の匂いがする今日この頃、暑くもなく寒くもなく、たいへん過ごしやすい季節になってきた。寝る時にも暖房やクーラーも要らないのは、今の時期と秋くらいだろう。

 しかし、5月7日の晩、スヤスヤと気持ち良く寝ている時に、安眠から奈落の底に落とす「悪魔」がやってきた。

 「プイ〜ン!」   一匹の蚊だ…。

 こいつが現れると、私は錯乱状態になる。@寝ながら両手を振り回す。A掛け布団を頭からかぶる。B暑くなってきてハーハーと息があがる。C布団をひっぺ返す。Dそうすると再び「プイ〜ン!」。@両手を振り回す…に戻り繰り返す。

 錯乱状態がさらに深まると、@電灯をつけ布団の上に正座してうつろいだ半眼で空中を見渡す。Aこの時、必ず口がポカーンと開いている。B悪魔を発見するやいなや、鬼の形相で追いかける。C手でつかもうとする。Dスッと視野から悪魔が消える。この時の空虚感たるや…。@うつろいだ目で空中を見渡す…に戻る。文字通り悪魔のサイクルだ。

 マンションの三階でドアも窓も閉まっている。密封性は完璧のはずだ。いったいどこから侵入してきたのだ!?などと思考回路が不鮮明な中でも考え出す。

 しかし明日は早い。もう寝なければ…。「プイ〜ン!」は「プイ〜ンの法則」通り、3分30秒ほどで再来してくる。エエイッ!無視してやれ!………やられた。顔のエラ辺りだ。か・か・痒い。

 地団駄を踏みながら、布団で顔面部分を覆いかくす。………やられた。今度は右手の薬指の先っぽだ。ここがまた痒い。クッソー!また両手を振り回す。時計を見ると午前4時15分。

 もういいっ!蚊に刺されたくらいで死ぬ訳ではない。  「プイ〜ン!」  猛然と布団をほうり投げ、部屋中を捜索しまくる。ど・どこや!………そうしているうちに
午前5時…。

 朝方には、右の頬と左足の中指に甚大な被害が生じていた。しかも寝不足。花粉症の症状もおさまりかけ心地よい日々になったと思っていたのに…。私の大切な睡眠時間を食いつぶす悪魔め!どこかに顔面用コンパクト蚊帳なんて売ってないか?

海老原寿哉(労働時間短縮研究所事務局長)
(2002年5月8日記)


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