携帯電話イン金魚鉢

 60歳をこえた江口所長が初めて携帯電話を持ったので、荒々しくかけまくってあげたのは私です。
 携帯が不慣れな人に優越感を感じるのは私だけだろうか? とにかく愉快だ。ボタン操作も危なげなオヤジの姿を見ていると、もっとイジワルしてあげたくなる。フフッ。

 昨年、東京で中学校の同期会があり、しこたま飲んだ際、携帯電話を紛失してしまったことがある。
 大阪に戻って何人かから「携帯がないと仕事でも困るでしょう」と言われた。実は、自分でも手持ちぶたさを感じたり、緊急の連絡があったらどないしよか、と思っていた。

 ところがところが、何と何と解放感に満ちあふれること。
無けりゃ無いで全然大丈夫なことに気がついた(公衆電話が減ったことには閉口するが)。
 でも携帯とは不思議なもんで、あったらあったで10分に1回は着信記録があったかどうか確認してしまう。だから今は、携帯もたずにブラリと出かけられる休日がとても好き。

 携帯未携帯で電車に乗ると、あのピラリラ♪とかチャラリラ♪が妙に耳に障る。もってない人はいつも感じているんやろうな。
 着信音だけでなく、会話の声も相手の声が他人には聞こえないから、人間の耳には違和感を感じるらしい。
 以前、帰りの電車でピーピロ♪がずーっと鳴ってた時、誰かが「早よ出えやっ!」と怒鳴っていた。
 今の時代、何があるかわからんのに、余程耳障りだったんだろう。

 先日の新聞に、口パクだけで喉の振動をセンサーがつかんで音に変換する携帯電話がいずれ実用化する、な〜んて記事が出ていた。
 電車内でもこれでOKらしい。
 でも、電車の中で口パクパク人間がわんさかいたら、何だか気色悪いやろうな。酸素不足の鉢の中にいる金魚を想像してしまう。

 それと、無音でしゃべるってなかなか難しい。というより、ほとんど会話にならない。
 どうぞ皆さん、仲のいいお友達とぜひお試しあれ。


海老原寿哉(労働時間短縮研究所事務局長)
(2002年3月23日記)


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