第28号
2004年8月

新聞スクラップ


日経04.08.03.
「戦力か」「パート統合」へ二極化 地域限定正社員、処遇見直し
意欲低下の恐れも 企業、コスト軽減急ぐ

 ほどほどの仕事ができ転居を伴う転勤がない地域限定社員は、家庭責任の多くをになう女性にとって魅力的な働き方と映ってきた。しかし今、パート社員との統合や、戦力化のために職務の見直しなどが目立っている。地域限定社員の位置づけはどう変わろうとしているのか。
 まずはパート社員との統合の動きから――。
 「来春から、地域限定社員は全員、パート社員と同じ雇用区分になります」。新制度ではパート社員は、地域限定社員より5段階低い職能資格からスタートする。追いついた後は、昇格、給与体系は同じ。地域限定社員の場合、旧資格は新体系の同レベルの資格にスライドするが給与は大幅に下がる。ただし3年間は移行期間として差額分を補てんする。「その間に上位資格をとれば、給与は維持できる」というのが会社の説明だった。
 Aさんは10年前に大学を卒業し、全国転勤もあるコースを選択して入社した。その後、結婚して地域限定社員に転換。売り場主任として働いてきた。今回の制度改定で本給は22万円から15万円に下がった。これを取り戻すには2段階の昇格が必要だが、「3年では厳しい」という。
 これに対し、もう一つの動きは戦力化だ。地域限定社員は職場が変わらず、仕事の内容や昇格も限られている。ともすればマンネリに陥り、閉そく感を覚えがち。責任を与え、きちんと処遇することで、やる気を引き出すのが狙いだ。
 その代表例が損保ジャパンの取り組み。同社は、かつての一般職の仕事をパート・アルバイトにまかせ、総合職と転勤のない業務職の2コースで人事管理しているが、今年7月、業務職に管理職の道を開いた。6000人いる業務職の大半は女性。彼女たちは30代半ばには、コースの最高資格に達してしまう。その後の昇格はなく、実質的に現場を切り盛りしていても管理職にはなれなかった。すでに1割はこの資格で、女性たちからも改善を求める声があがっていた。

日経04.08.06.
労働環境整備急げ 出生率の変化と相関関係
高橋美恵子 大阪外国語大学助教授

 男女ともに仕事と家庭を両立できる社会環境の整備に努めてきたスウェーデンの出生率の推移をみると、特に女性の就労形態が重要で、正規雇用者の割合が低下すると、出生率も低下する傾向がみられる。同国の充実した政策を参考に、日本も労働環境などの整備を急ぐ必要がある。
 米国のNGO(非政府組織)、Save the Childrenが発表した200年の「母親指標(Mother's Index)」で、スウェーデンは119カ国中、昨年に続き1位となった。つまり女性が安心して子供を産み育てられる国ナンバーワンだといえる。一方、日本の出生率は03年には1.29まで低下し、回復の兆しは見えず危機感が高まっている。本稿では、スウェーデンの事例を紹介し、日本の少子化対策を考える上での問題提起としたい。

赤旗04.08.08.
長時間労働押しつけはダメ
オランダ 労組が裁判で勝利

 オランダのキリスト教労組連合(CNV)サービス産業協議会は6日、米国系事務用品企業スミードが同国北東部の2つの事業所で、週36時間から40時間への賃金上昇なしの労働時間延長を強行しようとした問題で裁判闘争に勝利した。
 同国北東部の都市フロニンヘンの裁判所は同日、同社が従業員との個別契約で8月1日から週40時間労働を突施しようとしたことは、労使協約に違反し、従業員の労働条件を悪化させるもので違法だと判決した。労働時間延長そのものについては判断を示さなかった。

日経04.8.11.
女性の年休取得 男性と差なく 1.3日多いだけ
管理職、低い消化率 子供の有無でばらつきも

 女性社員は年次有給休暇(年休)をフルに使ってバカンスを楽しんでいる――。そんなイメージとは裏腹に、女性の年休取得日数は男性より平均1.3日多いだけで、男女とも年休の6―7割を余らせているのが実態だ。労働政策研究・研修機構の小倉一哉副主任研究員に、女性の年休取得の特徴などを報告してもらった記事。

赤旗04.8.17.
「オー人事」の陰で ある副支店長の自殺
人材派遣の過酷ノルマ

 「スタッフサービス」の元副支店長=当時(32)=が昨年12月、自殺した。生前、サービス残業と過重なノルマに追われ、「頭痛がする」「眠れない」などと遺族に漏らしていた。遺族が告発し、労働基準法違反の疑いで大阪労働局が同社を家宅捜索している。
 自殺した男性が働いていたのは、スタッフサービス大阪本部(大阪市北区)。ワンフロアに8支店が配置され、従業員は全体で約百人。男性は、広域第一支店の副支店長だった。
 昨年12月2日。男性はスーツ、ネクタイ姿のまま同市内の自宅アパートで首をつっているのを発見された。死亡推定時刻は午前8時ごろ。入り口のドアは開いたままになっていて、出勤するかどうか迷ったあげくの決行とみられる。
 同社の就業規則によると、始業は午前9時、終業は午後5時30分。しかし、実際には就業規則は無視され、午前8時30分から朝礼を行い、午後11時ごろ退社するのが通常勤務。土日曜日の休日もしばしば返上し、勤務していた。
 企業を訪問し、派遣契約をとるのが主な仕事。営業には標準営業職とサポート営業職の2種類があり、標準営業職は、新規企業を担当し、1日25―30件を訪問。サポート営業職は、すでに派遣労働者を派遣している派遣先企業を対象に、これもノルマで毎日訪問する。
 自殺した男性はサポート営業職。同営業職は、派遣の開始や延長の契約、派遣先企業からのクレーム、さらに派遣労働者からの苦情や退職希望などの対応に追われる。1人で派遣先企業は40―50社、派遣労働者は120―130人を抱える。
 「営業社員は午前9時には外回りに出かけ、帰社するのは大体午後6時から7時ごろ。全員そろったところでミーティングを行いますが、帰社が遅い社員がいるため、たいてい始まるのは午後十時以降です。ミーティングでは営業目標を達成したかどうかがチェックされ、支店長が激(げき)とばします」と関係者は証言する。
 副支店長の場合、さらに大きなプレッシャーがかかった。月2回の副支店長会議で、成績不振の副支店長は順番に全出席者の前に座らされた。その理由の説明と今後どうするのかを発表させられ、1、2時間も追及された。

日経04.8.27.
仏企業、労働時間を延長
法改正遅れ見切り発車

 フランスの中堅企業が相次ぎ労働時間の延長に動き出した。工場の閉鎖や配置転換をしない代わりに、延長の受け入れを社員に迫る例もある。産業界では法定の週3十5時間制は企業の競争力を弱め景気の足を引っ張っているとの批判も多い。政府が世論の反発を恐れ労働関連法の見直しに手間取るなかで、企業が「見切り発車」した格好。

赤旗04.08.30.
心の病、「30代」が最多
「メンタルヘルス必要」指摘 生産性本部

 「心の病」の最も多い年齢層は30代――。社会経済生産性本部がまとめた「メンタルヘルスの取り組みに関するアンケート調査」で、そんな調査結果が出た。
 調査は今年4月、上場企業2676社の人事労務担当者に実施、268社(10%)から回答を得たもの。
 それによると、「心の病」の最も多い年齢層として、「30代」と答えた企業は約半数の49.3%にのぼった。業種や従業員数規模に関係なく30代がトップ。千人未満の企業は40%、千人から3千人未満が50%、3千人以上が63%を占め、従業員数規模が大きくなるほどその割合が高くなっている。
 「心の病」の原因について、企業の人事担当者は「本人の問題」が18.7%、「職場の人間関係」18.3%、「わからない」17.2%、そして「仕事の問題」は13.8%としている。

赤旗04.8.31.
VDT労働、目など疲れ8割
1時間で休憩を 厚労省調べ

 パソコンなどのビデオ表示装置(VDT)を扱う労働者の78.0%が、目の疲れや肩凝りなどの症状を感じていることが30日、厚生労働省のアンケート調査でわかった。休憩を取らずに長時間の作業をしている労働者が多いため、同省は1時間ごとの休憩取得などを定めたVDT作業のガイドラインを周知する方針。
 調査は、全国1万2千事業所と、事務や販売担当の労働者1万4千人を対象に実施し、事業所の8割、労働者の7割から回答を得た。

日経04.8.31.
パソコンやPDA使用 働く人の8割身体疲労
昨年厚労省調査 企業の対策に遅れ

 仕事でパソコンや携帯情報端末(PDA)などを使うことで、8割近くの人が身体的疲労を感じていることが30日、厚生労働省の「2003年技術革新と労働に関する実態調査」で分かった。5年前の調査から大きな改善は見られず、急速に進む労働環境の情報技術(IT)化に比べ、従業員に対する企業の健康管理対策が立ち遅れている現状が浮き彫りになった。
 調査は昨年十月、従業員十人以上の企業約9500社と労働者約1万人を対象にそれぞれ実施した。情報機器と労働環境をテーマとした調査は1999年に続いて4回目。
 労働者を対象にした調査によると、仕事でコンピューター機器を使って作業している人は86.2%で、このうち1日当たり6時間以上使用している人は2割、2時間以上では6割を超えた。

赤旗04.8.31.
バイトの過労死認定
原告側「若者使い捨てに警告」 大阪地裁

 雑誌制作会社「JCM」(本社東京都千代田区)でアルバイトとして働いていた男性=当時(21)=が採用から約50日で死亡したのは過重な勤務が原因だとして、大阪府枚方市に住む母親(56)ら遺族2人が同社を相手取り、計約1億1500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁であり、死亡と業務の因果関係を認め、計4700万円の賠償を同社に命じた。判決は「労働基準法の規制を逸脱して長時間の時間外労働や休日労働をさせており、適正な労働条件を確保する注意義務を怠った」と会社の責任を指摘した。


メールマガジンダイジェスト

メールマガジン労働情報/No.78(04.8.18.)
ドイツで労働時間延長の動き/大企業で顕在化

 ジーメンス社、ダイムラークライスラー社などが一部事業所での週40時間制導入を図り、コストダウンと労働時間を巡る動向が注目されている。
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2004_8/germany_01.htm

時短の流れに逆流現象/無給労働の「連帯の日」問題、フランス

 6月17日、労働者が無給で労働力を提供する「連帯の日」を、原則として年に1日設けるとする法律が成立した。施行は2005年7月1日から。労働者は無償で労働力を提供すると同時に、企業もそこから生じた付加価値について一定の割合で税金を国に納める。
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2004_8/france_01.htm

テレワークに関する労使協定/イタリア

 6月9日に労使間で締結された協定により、在宅テレワーカーは、オフィスで働く労働者と同様の保護を受けることになった。同協定「テレワークに関する改革」に署名したのは、CGIL(伊労働総同盟)、CISL(伊労働者組合同盟)およびUIL(伊労働連合)の三大総連合と最大の使用者組織であるイタリア工業連盟および他の19の使用者団体。
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2004_8/italy_01.htm

残業代に関する新通達、3割増も/インドネシア
http://www.jil.go.jp/foreign/nna/backnumber/0812indonesia.htm

メールマガジン労働情報/No.81(04.8.27.)
過労運転命令で書類送検/3人死亡事故で神奈川県警

 共同通信によると、東名高速道で3月、トラックが渋滞に突っ込み3人が死亡した事故で、神奈川県警高速隊は26日、運転手の過労を知りながら業務させたとして、道交法違反(過労運転下命)容疑で愛知県豊川市の運送会社「丸進運輸」の社長(51)と法人としての同社を書類送検した。
http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/gyousei/20040827.html


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